一鳴驚人日記

外資系企業でM&A関係の仕事をしている若僧のブログ。キャリアや時事ネタに関してその時々に感じたことを書いていきます。

M&Aバンカーって何してるの?~M&Aプロフェッショナルの一日~

友人と飲んでいてもよく「M&Aの仕事って具体的に何しているの?」と訊かれるので、きっと業界外の人にとってはM&A関連の仕事は謎に包まれているのだろう。
 
 
M&A関連の仕事といってもフィナンシャルアドバイザー(FA)から、リーガルアドバイザー、デューデリジェンスの専門家など様々なプロフェッショナルがいるのだが、今回はFAの役割を果たす、バンカー(投資銀行IB)やM&Aコンサルタント(会計系ファームやM&Aブティック)がやっていることを1日の業務の流れから見てみる。
 
 
FAが担う業務は多岐にわたり、営業活動(ピッチと称する提案書による案件の提案)の有無、海外案件の有無、タイトル(=職位)によって業務が異なる。従って、一概に言うことは難しいが、ここでは、ピッチがあり、海外案件にも従事するジュニアレベル(=投資銀行のアナリスト、アソシエイト)のプロフェッショナルを例にしてみたい。
 
 
 
 9:00 米国とのクロスボーダーのA案件についてニューヨークチーム電話会議。
今後の交渉のポイントと交渉戦略について意見交換し、論点整理の資料を作成して一度クライアントの意向を確認してから再度交渉することに。法律上の論点に関しては、リーガルアドバイザーに依頼してアドバイスをもらっておく。
 
 
 
10:00 メールの処理
深夜から早朝にかけて、上司や海外チームから届いたメールを処理
 
 
 
11:00   資料の最終確認
B案件に関して、夕方のクライアントとのアポイントメント(顧客訪問)用の資料をファイナライズ(最終確定) 。数字の最終確認をして、インプリケーション(数字から言えること)を考え、クライアントに話内容を頭の中でシミュレーション
 
 
 
11:30  同僚とランチ
 お昼に並ぶのは時間がもったいないので、早めにお店に。時間がない時はお弁当を買ってデスクで食べることもしばしば。しかし忙しいからこそ気分転換は大事
 
 
 
13:00  直後のミーティングのための準備
 資料の読み込みやクイックな調べ物は事前に済ませておきたい
 
 
 
 
 
14:00  ピッチに関するミーティング
 クライアントに新規案件を提案するためにピッチブック(提案書)の構成を上司と打合せ。ドラフトを用意しておいたので、上司のコメントをもらって方針決定。その場で後輩と役割分担してあとは個別作業
 
 
 
15:00  クライアントとのアポイントメント
B案件でバリュエーションの結果を報告。ディスカッションの結果、ダウンサイドリスクを見極めるために、現在の事業計画にストレスをかける場合のシミュレーションを実施して、3日後に再度報告することに。
 
 
 
 
 
17:00  モデルの修正作業
 ミーティングを踏まえ、クライアントからの要請基づいてモデルに複数のストレスシナリオを追加。変数の置き方、合理的なシナリオを考えるのは、地味に時間がかかる。同時に、財務DDでの検出事項も反映する必要がある。
 
 
 
19:30 夕食
モデルの修正が一段落ついたところで、夕食へ
 職場周辺のご飯は食べ尽くしたので、たまには遠征したいが、なかなかチャンスがない。
 
 
 
20:30 オフィスに戻ってもう一息。
後輩から上がってきたD案件の対象会社に対する資料依頼リストのドラフトにコメント。後輩も成長してコメントすることが減ってきたなぁ。
 
 
 
21:00 新規案件に関するブリーフィング
別の新規案件を上司に依頼され、案件の概要の説明を一通り受ける。実際にスタートするのは2週間後だが、資料依頼リストとキックオフの資料は用意しておき、類似案件の過去事例も見ておいてほしいとのこと。
 
 
 
やっと午後打ち合わせたピッチの作成に取りかかれる。カンパニープロファイル(買収候補の企業概要) やら、株価チャートは後輩に任せたが、買収にあたってのエクイティストーリーやディールのポイントは自分で作らないと。頭を使う仕事は、クライアントからの電話や他の人からの依頼が少ない夜の方がはかどる。
 
23:30 後輩の作業状況を確認
困っていることにアドバイス
 
24:00 1日の作業のラップアップ
翌日のTo Doを整理し、上司にメールで報告
 
24:30 退社。
今日は生産的な1日だった。
 
 
上記はあくまで一例で、一日中ひたすら会議で外出をしていることもあれば、1日に2つのモデルを作ってずっとデスクでスクリーンとにらめっこしていることもある。なんなら、DDの様々なスケジュールなどのアレンジ、いわゆるロジで一日終わってしまうこともある。
 
 
ただ、常に上司、先輩、後輩、他部門の人、弁護士などの他のプロフェッショナルなどいろいろな人と連携して、複数の案件を同時並行で進めていくという仕事のスタイルはイメージできたのではないだろうか。
 
 
業務のカテゴリーごとにFAがどういう仕事をしているかについて興味がある方は、以下の記事などが参考になる。
 


フィナンシャルアドバイザー(FA)って何しているの?~FAの仕事の種類~ - 一鳴驚人日記