一鳴驚人日記

外資系企業でM&A関係の仕事をしている若僧のブログ。キャリアや時事ネタに関してその時々に感じたことを書いていきます。

瀋陽旅行 ~その1:故宮と餃子~

縁あって年末に瀋陽に遊びに行ってきたので、自分の体験から瀋陽の見どころを紹介してみたい。


日本では北京や上海はピンと来ても、瀋陽と聞いてピンとくる人はすくないかもしれない。そこでまずは簡単に瀋陽という都市についてふれておこう。

瀋陽の概要

地理

瀋陽は、中国の東北地方にある3つの省(通称「東三省」)の一つである遼寧省省都にあたり、東北地方の政治、軍事、経済の中心地だ。人口は800万人に上り(日本の大阪府と愛知県を合計した規模)、東北地方では最大の都市だ。日系企業が多く進出している沿岸部の大連と同じ県に位置していて、鉄道で日帰りで遊びに行くことができる距離にある。

東京から直行便が出ており、瀋陽桃仙国際空港まで片道3時間半のフライトで気軽に行きことができるので、3連休で遊びに行くことも可能だ。

気候

内陸部に位置しているため、四季がはっきりしており、季節・日中の寒暖の差が激しいのが特徴である。夏は暑く、冬は非常に寒い。一番寒い時には氷点下20℃程度まで下がることもある。

歴史

瀋陽といってぱっとわかる人は歴史好きの人に違いない。瀋陽は、古くから中国東北地方の政治経済の中心地となってきた場所であり、清朝初期は清朝の都であり、北京に遷都後も副都であった。また、清朝末期、中華民国時代には奉天と呼ばれており、日露戦争では奉天会戦の舞台ともなり、満州国が成立すると日本の勢力下におかれた時期もあった。

観光スポット

瀋陽は、清朝時代から政治・軍事の要衝であったため、史跡が多い。また、郊外では登山やウィンタースポーツを楽しむできる。


今回は瀋陽の代表的な史跡の中の一つである瀋陽故宮に行ってきた。


瀋陽故宮


中国最後の王朝である清朝が最初に興った地域(最初は後金と呼ばれていた)に臨んでおり、清朝華北~華南の支配を確立する前に都としたため、清朝の初代及び二代目の皇帝であるヌルハチ及びホンタイジの居城であった場所が、「瀋陽故宮」として一般公開されている。


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故宮といえば、北京にある故宮博物館が有名だが、瀋陽故宮はそれよりも小規模で、2時間もあれば全て見学することが可能だ。しかしながら、当時の権勢を背景とした壮大な建物に中国の歴史と大陸独特のスケールの大きさを感じることができる。

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「歴史にすごく興味があるわけではないし、一日中宮殿の中を歩くのは飽きちゃうけど、ちょっと雰囲気は味わってみたい」という人にはお勧めだ。

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また、「中街」という商業施設が集まった繁華街にも近い為、地下鉄やバス等の交通公共機関によるアクセスも便利である。入場料は60人民元(2014年12月末時点のレートで約1,200円)。正門の左側のチケット売り場窓口で、お金を渡せば特に会話しなくてもチケットを買うことができる。


なお、冬に訪れるときはとても寒いので万全の防寒対策をしておくことをお勧めする。ダウンジャケットは必須であり、場合によってはズボンの中にもう一枚下着的なズボンをはいておくのが賢い。一枚だとまるで何もはいていないかのような気分を味わうことができる。


故宮の中の其々の部屋の中には、遼王朝時代(宋の時代に中国北部を支配した北方異民族の王朝)のものも含め、芸術品や日用品の展示を鑑賞することができたり、皇帝・皇后の生活空間が垣間見えたりする。

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皇帝の生活環境が、北方民族であることや、当時はまだ中国全土支配していなかった地方政権だったことを差し引いても意外に質素で、庶民としては好感がもてる。


一方で、なんでもない庶民が4、5世代前の皇帝より全然良い暮らしができることを思うと、経済成長や技術革新の力はすごい。


老邊餃子



故宮の探索を終えたら、中街を通って10分程度歩いて「老邊餃子館」でアツアツの蒸し餃子を食べるのがお勧めだ。清朝時代に遡る19世紀に邊福という人が始め、百数十年の伝統をもつ、地元でも評判の老舗だ。
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入口は少しわかりにくく、階段を上がるまでは少し暗くて不安になってしまう。しかし、階を上がってテーブルが見えてくるとアツアツの餃子に期待感は高まる。特に冬に行くと体も温まっておいしさ2倍だ。


客は中国人がほとんどでサービスも日本でのようにはいかないが、味は間違いない。地元でも人気を博しているし、出張で訪れる日本人もみなとても気に入って帰るそうだ。


注文は、香港の飲茶よろしく小さな紙にメニューが記載されており、ほしいものにチェックマークを付ける。個人的なお勧めとしては、まずきのこのスープをアペリティフとして食欲を高めてから看板メニューの老邊餃子、あっさりした三鮮餃子、伝統的な白菜餃子、濃厚な味わいの羊肉餃子当たりを食すというものだ。4人でせいろ6±1つくらい注文するのが量としては丁度良い。


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私は昔日本の中華で出されるようなパリパリの餃子の方が好きだったが、これを食べてからは蒸し餃子の方が断然好きになってしまった。ちなみに中国の北方では、餃子といえば水餃子、蒸し餃子が主流だ。老邊餃子館の餃子は皮も非常においしく、一口噛むと旨みがジュワーっと口に広がって、はまることまちがいなし。


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伝統的な餃子を堪能した後まだおなかに余裕がある人は、皇城恒隆広場というデパートの地下にある鮮芋仙というお店で甘いものを食べるのもお勧めだ。
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台湾式のスイーツで別に瀋陽の特産という訳ではないが、和風スイーツに通じるものがあり、甘いもの好きにはたまらないこと請け合いだ。


次回はもう一つ、瀋陽の代表的な史跡である北陵について紹介する。