一鳴驚人日記

外資系企業でM&A関係の仕事をしている若僧のブログ。キャリアや時事ネタに関してその時々に感じたことを書いていきます。

事業会社とプロフェッショナルファームは流れている時間が違う

先日事業会社に転職した先輩の話を聞いて思ったのだが、投資銀行M&Aアドバイザリー、コンサルなどプロフェッショナルファーム(以下、「PF」)では事業会社と流れている時間が違う。

1. 締め切りまでの時間が短い

M&Aアドバイザリーを例にとってみると、タスクの「明日の朝まで」、「今日中」、「午前中に」というのはわりとよくある話だ。「今週中に」と言われたら、「随分時間あるな」という印象を受ける。結局、少しやってみて最低限の見通しがたったら、2日前や当日まで放置されることになる。


しかし、事業会社の経営企画に転職した先輩によれば、同様の分量のタスクに関して当日中が締め切りとなることはほとんどなく、2、3日の時間が与えられることが普通のようだ。だから、転職したての頃は仕事が早く片付いて暇していたらしい。

2. 一日は7時間労働

事業会社でも残業をして遅くまで働いている人もかなりいると思われる。しかし、それでも「残業」という認識がある。つまり、本来は7時間で退社するというのが基本コンセプトなのだ。


PFには「残業」という概念は無い。(ただし、残業代は払われている。制度上はあるが、仕事をする上では残業であるか否かはは考慮しないということだ)プロジェクトのためなら深夜でも週末でも働く。これはプロジェクトベースで働いているということに起因するのかもしれない。


ルーティン・ワークなら、毎日決まったことを行えば良いが、プロジェクトであれば、どの段階にあるのかを意識したタスクや時間の使い方が必要になる。ルーティン・ワークをを平原に喩えるならば、プロジェクトは山(ピーク時)あり谷(プロジェクトの合間)ありだ。


しかし、結局複数のプロジェクトを掛け持ちし、プロジェクトにひっきりなしに加わるので、はじめも終わりもあってないようなものだ。結局は山しかないからピークの部分が連なって結果として繁忙期のままが続く、いわば高原状態になる。

3. 時間よりも金が大事

IBやM&Aアドバイザリー(おそらくコンサルも)では、仕事中の移動は基本タクシーだ。(もちろん、新幹線や飛行機が必要な場合は別)しかし、事業会社に行くと電車だったり徒歩だったりが基本となる。移動において、時間と金銭はトレードオフの関係にあるのだが、PFではより時間を、事業会社ではよりコストを重視していることがわかる。

まとめ

M&A案件で事業会社に資料を開示してもらう必要があることが頻繁にあるが、開示されるまでに時間がかかる。

もちろん組織の大小も関係しているが、(通常PFは4、5人のチームで動いているので、承認・決済が非常に速い)これだけ違う時間軸で日々仕事をしているのだということがわかると、朝依頼した資料の準備状況を担当者に夕方確認すると、おやつの時間にやっと指示を出したので、作業に着手するのが明日以降とか言われるのも、さもありなんと思えるようになる。

流れている時間が違うのだ。同じ人でも10年たったら、どれくらいの違いが生まれるだろうか。