一鳴驚人日記

外資系企業でM&A関係の仕事をしている若僧のブログ。キャリアや時事ネタに関してその時々に感じたことを書いていきます。

投資銀行でも無視できない過労死問題

最近電通で東大卒の若手女性社員が自殺して労災されたことが話題になって、それを機に電通広告業界長時間労働体質や労働環境がハイライトされている。


kabumatome.doorblog.jp
m.newspicks.com
togetter.com


M&Aアドバイザリーの業界、具体的には投資銀行IB部門、会計事務所系のフィナンシャルアドバイザリーサービス(所謂FAS)、M&AブティックやM&Aコンサルなども長時間労働では負けていない。担当業界、所属チーム、会社の方針、ビジネスの状況により当然労働時間が短い人は存在するが、入社後数年、感覚的には3~6年は、平均的で10:00~26:00 (=深夜2時)勤務することが多い。これから±3時間くらいのレンジにほとんどの人が当てはまる。

体に変調を来たす人は必ず毎年いる。倒れて脳に後遺症が残った人や鬱になって二度と帰ってこない人、耐え切れずに辞めて行くのはいい方だ。海外でも投資銀行IBで働きすぎて突然死したり自殺する事例が報道されている。

markethack.net
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大抵業務が不慣れな中で長時間労働して、上司から詰められて、精神的にもきつい状況にありながら、責任感から最後までやりきってしまう人が、その頑張りにもかかわらず鬱になったり倒れてしまったりする。長時間労働をすると疲れからミスも増え、さらに上司から詰められ、やり直すことになって労働時間がさらに増えるという悪循環にはまってしまう人も後を絶たない。


自分もそういう仕事環境に身を置いており、過去には本当に辛かった経験もあるが、死ぬまで働くというのは正直理解ができない。今回の女性のように初めての仕事であればなおさら、辛くて逃げてしまうと、自分は仕事ができない、なんの価値もない人間かもしれないという恐怖と向き合い、自己嫌悪と闘う必要があるが、彼女にとってはそれが何にもまして耐え難いことだったのだろうか。


もっとも理解ができなかったからこそ、今こうして生きているということなのだが。正常な判断ができなくなるくらい追い詰められてしまったのだ、そもそも鬱になっては正常な判断が難しいのだと言われれば、そうなのかもしれないが、やはり生命の危険すら認識できない、あるいは優先順位が下がってしまうのだろうか。


こういったことは当然自分が大丈夫だったからといって誰もが大丈夫なわけではなく、大多数が大丈夫だからと言って大丈夫じゃない人がいることを無視していいわけでもない。


特に新卒含めて業界未経験者は、業務のさじ加減も自分でわからないかもしれないし、性質上仕事を断ることも難しいのが一般的だろうから周りがしっかりケアして量をコントロールしてあげることも重要だ。

しかしそれでも最後の最後自分を守ってくれるのは自分自身しかいないという意識は特にM&Aに携わるプロフェッショナルとしてもっておいたほうがいい。プロフェッショナルは体調管理も含めてプロフェッショナルなのだから。