一鳴驚人日記

外資系企業でM&A関係の仕事をしている若僧のブログ。キャリアや時事ネタに関してその時々に感じたことを書いていきます。

仕事で成長できないと感じた時に考えるべきこと

友人が「今の仕事を続けていても全く成長しないから転職した方がいいのだろうか」と悩んでいるということだったので、相談にのった。「転職が必要かどうかという問題」となると考えるべきことは、成長の可能性のだけでなく、給料やワークライフバランスなど他にも考えるべきは多いので、ひとまず転職の話はおいておくとして、成長できないことに悩んでいるなら、まず以下のことを整理することが大事だろうと思ったことをまとめてみる。

1. 成長の定義
2. 成長の基準
3. 成長できなかった要因の分解


1. 成長の定義
まず自分にとっての「成長」とは何か?当たり前すぎてついつい考えずに次のステップに行きがちだが、定義ないと評価もできない。評価ができないということはつまるところ実際に成長しているかもわからないということだ。漠然と「なんとなく」成長について考えているだけでなく、そもそも将来どのようなことを目指しているのか、例えば、ジェネラリストorスペシャリスト、フロントオフィスorバックオフィスなどは明確なのかは考える必要があるだろう。そうしてはじめて、何を成長とみなせるのかが明確になる。


スペシャリストを目指しているなら自分の専門性を身につける必要があり、専門性を身につけることがスペシャリストとしての成長につながるだろうし、ジェネラリストであれば、専門性は無くとも幅広い経験を持つこと自体がジェネラリストとしての成長につながるだろう。


働き始めてから数年は、専門性以前に仕事のいろはを覚え、一人前の社会人としての「身のこなし」を身に付けることだけでも成長と呼べるかもしれない。しかし、そういった部分はできて当たり前で勘定に入れず、それ以上の成長がなければ、成長とは呼べないと考える人も人もいるだろう。いずれにしても、まず成長とは何かをはっきりさせることが重要なのだ。



2. 成長の基準
成長の定義が明確になったら、次はその定義に照らして具体的にどういった基準で成長をしたかどうかが判断できるのかを考える必要がある。わかりやすいのでスペシャリストで言えば、十分な知識や知見があるか?必要なスキルは身についているか?


例えば、M&Aのアドバイザーとして、バリュエーションのモデルを作成しそれに基づく投資判断に関するアドバイスができるのか?DDのプロセスを設計し、求められるタイムラインで遅滞なくプロセスを完了できるのか?成長は結局のところ「目標に近づくための変化」と言い換えてもよく、変化の有無を見極めるためには、その基準が必要なのだ。


3. 要因の分解
定義も基準も明確になった上で、ではなぜ成長出来ていないのかを考える。
まず原因を分析して見るのが良い。そこでまず成長できない原因は外部(=環境、職場)の問題なのか、それとも内部(=自分)の問題ないのかを考えてみる必要がある。


3-1 外部の問題

何かを身につける(=成長する)ために必要なのは、学ぶ→実践する→評価するというプロセスの繰り返しである。従って、それぞれの段階で問題が存在するのかを考えてみる。

学ぶ機会の有無:
研修の体制は整っているか?チームやリーダー等周囲には知識、スキル、知見があるか?

実践する機会の有無:
若手を重要な任務に抜擢する土壌・カルチャーがあるのか?学んだスキルを発揮することができるような部署や会社全体の案件のフローはあるのか?

成長を評価する体制やカルチャーの有無:
フィードバックを通じて成長を促したり、成長に対してそれを正しく認識しポジティブな評価を与えることでモチベーションの向上につなげるような仕組みや雰囲気が醸成されているのか?


3-2内部の問題

往々にして自分が成長しないことを外部環境のせいにしてしまいがちだが、自分になんらかの原因が無いのかを見つめなおさないことには、急に成長を実現することは難しい。自分に関しても以下のような点は省みる必要があるだろう。

目的意識: 明確な目標があった?漫然と機会的にやっていなかったか?
モチベーション: やる気はあったのか?
全力 : 全力が出せたのか?体調は万全?精神的に厳しい時期ではなかったか?


これまでに書いたようなことを1つずつ考えていけば、成長できない理由は大抵の場合特定できるはずだ。問題を解決するとき、解決策を見つけることも難しいが、根本の問題点を見つけことは同じくらい難しい。もしも自分も仕事で成長できないと思っているなら、何が問題なのかここで書いたプロセスを踏んでを考えてみるのがいいかもしれない。