外資系企業に勤めていますと言うと、
「英語が得意なんですねー」
「ガイジンさんがたくさん居て、普段から英語なんですか?」
という反応をされることが多い。
実際自分は英語が得意な方だし、自分が働いてきた職場にはガイジンさんや帰国子女もいて、日本語ではなく英語で話す人もいる。が、外資系企業だからといって勤めている人は英語ができて当たり前で、ネイティブ(=Native speakerのこと)と冗談を言い合って仕事をしているかというと、そうでもない。
あくまで自分の経験と感覚を基にという枕詞をつけていうと、外資系の英語得意・不得意の割合は以下のようになる。
全ての人と働いたことが無いので、主観的なカテゴリー分けになってしまうが、だいたいこんなところだ。
- 「英語無理」:クロスボーダーの案件のチームの組成の際には、まず最初に除外される。
- 「英語苦手」:何か強みがあれば(財務モデルの鬼とか、制度に関しては博士など)、クロスボーダー案件に呼ばれることもあるが、基本英語が得意な人とセットでクロスボーダー案件に加わる。
- 「英語普通」:英語が得意な人たちに助けてもらいつつ、ある程度クロスボーダー案件で、海外の交渉相手とやりとりできるレベル。
- 「英語得意」:英語で業務をこなす上で支障は特に無い、場合によっては日本語と英語での業務にほぼ差が無いレベル
- 「ネイティブ」:母国語。以上。
ちなみに英語普通というのは、時間はかかるが英語のサイトで情報を集めることができ、海外と簡単なメールのやりとりができ、電話会議では発言はなかなかできないが、内容はおおまかに理解出来ているレベルだろうか。
思ったよりも英語が出来る人が多いだろうか。少ないだろうか。
4割というのは、世間一般のイメージより割合が大きいのではないかと思う。英語ができなくても出世できている人はいるし、優秀な人も多い。なので、外資系に挑戦してみたいけど、英語が苦手という人でも、怯まずに挑戦してみたらいいと思う。
ただし、外資系でも英語が苦手な人が意外と多いのは、M&Aアドバイザリー業特有の事情もある。何故ならば、
- 純粋国内案件が存在する(クライアントも交渉相手も日本人)
- クロスボーダー案件においてもクライアントが日本人
といことが背景にある。国内企業同士の取引ではそもそも英語はいらない。クロスボーダー案件でも、多くの場合クライアントの担当者は日本語で現状を知りたいし、日本語でアドバイスがほしいため、結局日本語が重視される。
このことはネイティブが少ない点にもつながってくる。英語がいくら出来ても、日本のクライアントに報告やアドバイスを行うときには日本語なので、日本語がある程度流暢でないと、厳しいということになってしまうのだ。
ただし、今後クロスボーダー案件が増えていくことを考えるとよほど強みがないと、英語が苦手な4割はどんどん仕事が減っていくという懸念はあるだろう。