一鳴驚人日記

外資系企業でM&A関係の仕事をしている若僧のブログ。キャリアや時事ネタに関してその時々に感じたことを書いていきます。

外資系投資銀行IBのライフスタイルに向く人

外資投資銀行のIB部門(以下、IB)は働き方という意味では非常に特殊な業界だ。労働時間が非常に長く、基本的に終電で帰れない。そして週末も出勤することの方が多い。

 

IBでは通常若手(アナリスト、アソシエイト)をジュニア、管理職(VP)以上をシニアと呼ぶが、ジュニアとシニアでは、働き方が異なってくる。

 

ジュニアは、朝9~10時に出勤して、夜の2~3時までオフィスで、エクセルやパワポを使って資料作成や財務モデルの分析をしていることが多い。

 
シニアは、同様に朝9~10時に出勤し、夕方にはクライアントと会食にでて、そのまま直帰するか、一度オフィスに戻って、ジュニアが作った資料をレビューしてコメントしてから、12時くらいに退社する。
 
 
ここからはジュニアの話を続けていくことにする。
 
 
IBは通常タクシー代が支給される。よく、「タクシーで帰れるなんていいね」といわれることがあったが、これはつまり、「安心して終電後も働け」ということであり、ないよりは当然良いが、、、
 
 
繁忙期になるとジュニアは平日は文字通り「朝から朝まで」働くこともある。通勤ラッシュで帰宅して、シャワーを浴びでオフィスにとんぼ返りということもたまにある。
それを毎日続ける当然無理なので、忙しくない日には夜の7時に帰れることもあるが、そんなことは月にあるか、ないかといったところだ。
 
 
休日に関して言うと、もちろん、チームによって違いもあり、本人の根回しのうまさも関係するが、基本は二日のうち一日は仕事をしているというのが相場じゃないだろうか。ほとんどの上司は基本的に土日にジュニアに仕事をさせることに罪悪感を感じない。運が悪い時は、金曜の夜に、月曜日までの仕事を告げられることが往々にしてある。
 
 
しかし、毎週末働いているとそのうち週末働く慣れるので、自分の心の抵抗もなくなる。(ここら辺はブラック企業を連想させるかもしれない。投資銀行ブラック企業に関する考察は以前の記事参照「ブラック企業と投資銀行の違いについて考えてみた - 一鳴驚人日記」)
 
 
ここまでIBのジュニアは仕事の拘束時間が非常に長いことを述べてきた。しかし、本来は拘束時間を長くすることが目的ではなく、ただ単にやることが多すぎて、通常の勤務時間では終わらないことから、結果的に仕事の拘束時間が長くなっているだけである。
 
 
したがって、チームと予定を調整済みで、デッドラインが守れて、アウトプットのクオリティが申し分なければ、夕飯時に抜け出して、深夜にもどって仕事をしても問題ない。実際、IBの若手はクライアント先を訪問することもあるので、デスクにいなくても特に不審がられることもない。休日も昼間は遊んで深夜仕事をすれば、遊びと仕事を両立できる。ただし、新人のころは先輩や上司に仕事を教えてもらう必要があるので、休日もその人たちに併せて出勤することになり、時間に関する自由度は下がる。
 
 
IBでは要するに拘束される時間自体は長いものの、どのように時間配分するのかは個人の裁量がある程度ある。IBでのキャリアが長く続く人とそうでない人の違いは、ひとえにこのライフスタイルが受け入れられるかという点も大きい。夜は必ず寝たいし、週末は必ず休みたいという人はIBに向いていない。逆に、寝れれば時間は昼でもいいし、週末どこかで休めれば、週末の深夜に働いてもよいという人は向いていると言える。
 
 
ちなみにIB以外でM&Aアドバイザリー業務を行っているコンサルやFASなども程度は軽いが同じような生活スタイルとなる。しかしそれらの会社の給料は投資銀行より低くなるので、働く時間も見合ったものにしようというマインドセットの人がどちらかというと多いと個人的に感じている。
 

 

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