一鳴驚人日記

外資系企業でM&A関係の仕事をしている若僧のブログ。キャリアや時事ネタに関してその時々に感じたことを書いていきます。

なぜM&Aアドバイザリーはいつも忙しいのか

M&Aアドバイザリー業界で働いていると基本的にいつも忙しい。終電で帰ることが基本だ。案件が忙しい時には深夜にタクシーで帰ることが多くなり、電車の定期は割に合わないので買う機会はない。


仕事の関係上、友人と会う機会も限られてきたり、キャンセルせざるを得ない場合がどうしてもある。しばらくすると、周りも「こいつは忙しいんだな」という認識を持つようになってくるのだが、「なんでそんなに仕事が忙しくて、夜遅くまで働いているのか」ということを訊かれることがある。


個人的には、以下の理由で忙しいのだと思っている。

  1. 少数精鋭なチーム構成
  2. M&Aにおける時間的制約
  3. 提案活動は時間のかかる作業

チームは少数精鋭

チームは少数精鋭が基本だ。少ない時には案件責任者と若手一人の合計2名で案件を担当することもある。多くても、4~5人といったところだろう。なぜ少数精鋭なのかに関しては別の機会に考察したいが、様々な業務が相互作用しているために、多くの人数で分担したとしても必ずしも効率的にならず、逆に情報のゆがみが発生しやすいことが背景にあるのではないかと思う。要するに人数が多いと伝言ゲームになってしまって、効率的な作業ができないのだ。

案件は時間との戦い

通常M&Aは期限が決まっていて、時間の制約がある中で、価値評価、意志決定、交渉を行っていき、それらを実行するために無駄なくスケジュールが組まれるため、自分が担当する役割によって多少の忙しさの波はあるものの、平均して忙しい。ただ、当初のスケジュールどおりに案件が進むことはまずなく、からなず予想外の問題によりスケジュールに遅れが出てくる。従って、問題に対処しつつ、予定通り案件を前進させるためには結局アドバイザーのタスクは増えて、最終的に忙しさは当初想定より増すことの方が多いのである。

案件がないなら獲らないと

案件のフローが少ないファームは少ないファームで忙しい。なぜならば、案件がないファームは、案件がないゆえに、案件獲得のために、業界の情報を仕入れ、同業他社分析などを行い、クライアントとの関係構築のために提案を行う必要があるからだ。

案件の場合には、時間の制約もあり、目的も決まっていることが多いので、やるべきこともある程度決まっていることが多い。しかし、提案活動は情報収集とアイデアが重要になってくる。情報収集というのはある意味時間をかければかけるほど成果がでるものであり、クオリティを担保しようとすると必然的に時間がかかってしまう。そして、提案が案件につながるのは多くないので、同時に多くの提案を行うことになり、結果的に作業量も多くなるのである。

まとめ

要するに案件が多くても少なくても結局忙しい。それは、そもそものチーム編成にも起因しているし、案件遂行や提案活動のそれぞれの事情にも起因している。これから、M&Aアドバイザリー業界で働くことを考えている人は、忙しいことを覚悟した方がいいだろう。しかし、例外的に忙しくない人もいる。それは、「こいつは使えない」という烙印を押された人だ。(ただし、本当に使えないかは問わないし、重要ではない。)そういう人は、案件のためのチーム編成の段階で声がかからないので、いつでも暇だ。しかし、長い目で見るとこういう人は、辞めていくかクビになる運命にあるので、長く勤めながら暇な人は基本的にいない。皮肉なことに、暇なのは必ずしもいいことではないのだ。