最近ブラック企業に関する記事をよく見かける。日経新聞だけ見ても以下のようにすぐにいくつもの記事が掲載されている。
入社3年以内の離職、3割超で「ブラック」 就活生のイメージ :日本経済新聞
ブラック企業どう見分ける スパルタとの境界線 :日本経済新聞
どうも就活生の間では如何にブラック企業に就職しないようにするかということが一つの重要なテーマになっているようなので、自分の経験を踏まえて、どのようにブラック企業から身を守ればいいかを考察してみたい。
投資銀行のIBも十分ブラックだ。
一番最初の記事によれば、
どんな企業をブラックだと思うかを複数回答可で尋ねると、「残業代が支払われない」が75%と最も多かった。「労働条件が過酷」が65%と2番目に多く、「離職率が高い」が58%だった。
IBはこれらのすべてに当てはまる(笑)
残業代が支払われないのはそのような契約を結ぶからであり、離職率が高いのはもともとの業界カルチャーということも背景にある。
とりわけ、ジュニア(=若手)の労働環境が苛酷という点は事実だ。毎日9時に出社して深夜4時に「朝帰り」し、休日出勤も常態化している。少しでもミスをすれば、つめられ、嫌味を言われる。寝不足状態で長時間働いているので、ミスも当然あるのだが、、、
もちろん体力仕事ではないので、IBより辛い仕事ももっとあるのかもしれない。しかしながら、当時は、如何にも疲れ切った雰囲気と仕事の状況を話すと、「よく頑張ってるね」「よく健康でいれるね」と言われたものだ。
先輩の一人は、何日か連続で徹夜した朝に、自宅のマンションのエレベーターのボタンを押したまま寝てしまい、マンションの他の住人に発見されて心配されるという逸話がある。
IBのライフスタイルに興味がある人はついては以前書いたエントリーを参照してほしい(外資系投資銀行IBのライフスタイルに向く人 - 一鳴驚人日記)
ブラックな状況でつぶれないためには
なぜ私がつぶれず、心身ともに健康を維持できたのかを自分なりに分析すると、以下の3点がポイントだったのかなと思う。
- 目的の明確化
- プライド
- わりきり
1. 目的の明確化
少なくともキャリアの序盤はM&Aアドバイザリーに関わっていきたいと思っていたので、辛い中でも、M&Aに関連することは、業界でのキャリア役に立つと思えるものを必死に吸収しようと無我夢中だった。
目的を持っていたので、肉体的な疲れは気力でなんとかしていた。もちろん、怒られもしたが、何かを学べる、活きた経験ができるなら、安いもんだと思った。もし、明確な目標もなく、肉体的ににギリギリの状態の中、叱られることが重なれば、私も途中でギブアップしたかもしれない。
だからつらい時こそ自分は、何を目的にそこにいるのかを考えてみるのがいいかもしれない。つらいことを耐えて、自分はほしいものが手に入れられたか?入れられるようになるのか?
2. プライド
ミスをしたり、上手く出来なかったりして、罵倒された時も安易に自分の能力を疑ったり、自分の適性のせいにはしなかった。代わりに、自分が行ったことのどこがまずかったのかを考えた。
知識が足りなかったのか、見積もりが甘かったのか、必要な支援が足りなかったのか、コミュニケーションがうまくいっていなかったのかなどなど。それを積み重ねていくことで、次回は少なくとも今回よりはうまくできる。
肉体的に限界の時、特に寝不足の時はネガティブ思考に傾きやすくなるが、このような心持でポジティブさを維持できたことが、自分にとっては大きかった。
もちろん、最善の方法を用いてもうまくいかないこともある。しかしそれが続く場合には、もちろん個人の適性の問題もあることは否定のしようがないので、他の仕事に挑戦する方がよいだろう。しかし、安易に自分の能力や適性の問題にしるのは良くない。それでは、成長も見込めなくなってしまうからだ。
3. わりきり
常に自分でこの仕事はどこまでやれば問題ないかということを考えていた。締め切りまでの時間、チームの他の人の状況を踏まえ、「これだけやって怒られるなら、やむえをえない。」というラインを引き、そのラインまでは全力でやった。それで、非難されたり、怒られた場合には、もともと無理だったんだとわりきった。
もちろん、このラインは極めて主観的であり、自分がいいだろうと思っても、クライアントや上司、チームメンバーはそう思わない場合がある。しかし、だ。できないものはできない。どうしてもできそうにない場合には、まず、自分で他にやり方がないのか考え、それでも上手く行かない時はチームや上司にに妙案がないか相談した。
記事中にあるように「代替案がなく精神論を繰り返す」ようなら、いっそ諦めるのも一考だと思う。精神論を繰り返されたことはまれだったが、理不尽と思った場合にはある程度割り切った対応をしていたし、それでクビになるならそれでもいいという覚悟は持っていた。
まとめ
大切なことは、自分は何を求めていて、それに見合う苦労なのかを常に考える一方で、自分のキャパシティを把握しそれを超える部分はそもそも無理だと割り切ることだ。自分の求めるものが得られないのに、つらい経験ばかりしていては割に合わないし、常に自分のキャパシティを超えることを続けることには限界がある。どちらの場合も、思い切って、他の仕事の可能性を探ってみるべきだ。
辛いことを回避することが目的の転職は、「逃げた」という感じがして、自分の能力のなさを認めるようで気が引けるという人がいるかもしれないが、誰しもなんらかの能力は持っているものであり、それを発揮するよりより方法や環境を見つけるんだとポジティブに考えればよいのである。それは同じ会社で頑張り続ける場合も、他の機会を探す場合も同じだと思う。
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