一鳴驚人日記

外資系企業でM&A関係の仕事をしている若僧のブログ。キャリアや時事ネタに関してその時々に感じたことを書いていきます。

投資の促進に必要なこと

投資減税が有効な成長戦略にならない理由 (THE PAGE) - Yahoo!ニュース

企業の投資促進を期待して減税を行うというなら、効果には疑問が残る。というのも、そもそも日本企業は、手元資金は潤沢に持っているが、投資をしていないのだ。

 

では、なぜ投資をしないのか?

 

それは魅力的な投資案件が無いからである。例えば、国内に新しいテレビ生産工場を建設して、テレビの生産量を増やしても、国内の需要が弱いために、結局売れ残ってしまい、投資に見合ったリターンが得られないのである。

 

減税は確かに投資の刺激策にはなる。そのメカニズムは、企業が稼いだ利益から政府がとる分を減らす代わりに、減税がない場合に比べて余計に残った部分を投資に回すことができるというものだ。しかしそれが大きな効果を発揮するのは、市場の需要は旺盛であるが投資に回す資金が不足している時である。

 

しかし需要が無いのにいくら、資金があっても結局投資にはつながらない。もし投資の基準を下げて採算を度外視して投資をすると、結局は誰も行かないテーマパークのように不良債権化してしまう。

 

米国企業のように自社株買を通して積極的に株主還元するのであれば、減税された分の資金がたとえA社で投資に回されなくても、株主還元を通じて株主の手元に移り、株主が消費に回したり、市場が大きく成長している事業を営むB社に投資することにより、投資を促進することが可能になる。

 

しかし日本企業の場合は、株主還元にも積極的でないので、あくまで企業内部にお金を貯めこんでしまう。とすると、果たして減税は投資促進につながるのだろうかという疑問はもっともなものだと思える。

 

減税よりも、規制をなくして新しい市場や競争を生み出したほうが、企業にチャンスやピンチをもたらし、投資をするインセンティブになるのではないだろうか。