一鳴驚人日記

外資系企業でM&A関係の仕事をしている若僧のブログ。キャリアや時事ネタに関してその時々に感じたことを書いていきます。

うまいアフリカとの付き合い方

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/3/30/Rhodes.Africa.jpg/180px-Rhodes.Africa.jpg

(画像はwikipediaより引用) 

 

アフリカとの付き合い方は欧米より中国の方が正しい:日経ビジネスオンライン

 

 あなたがアフリカの何処かの国の大統領だとしよう(首相でもいいし、要は一番偉い人だ。)しかし、あなたの国は貧しい。あなたは国を発展させたい。国民がよりよい暮らしをすることができるようにしたい。

 

そこでA国はこう言ってきた。「あなたの国に援助をしましょう。ビジネスもどんどんやりましょう。でも、それには条件があります。まず、民主主義的な政治システムに移行してください。次に、教育や医療、貧困などの社会問題にしっかり取り組んでください。」

 

今度はB国がこんなことを言ってきた。「あなたの国に援助をしましょう。その代わりと言ってはなんですが、どんどんビジネスを拡大して行きましょう。」

 

あなたが大統領だったら、どちらの国と仲良くしたいと思うだろうか。

 

普通に考えたら無条件で、援助もビジネスの拡大も申し出てきている後者ではないだろうか。前者は欧米、後者は中国のやり方だ。

 

あなたがどう考えるかはさておいて、権力者はどう考えるか。

 

民主主義的な政治システムが確立されていない国では、権力者は様々な方法(時には、不法だったり、非情だったり、強権的だったり)で多くのライバルを押しのけて頂上にたどり着いた可能性が高い。結果的に、敵を多くもっているために、選挙なんてしても勝てるかどうかわからない。

 

こういった権力者にA国はつまるところこう言っているのだ。「あなたが権力の座から降りるなら援助をしてもいいですよ」手段を選ばず、数々の苦難を乗り越えてたどり着いた地位を放棄しろと言われて、豆腐の角に頭をぶつけていない限り、「それをはいそうですか。喜んで。」というやつはいないんじゃないだろうか。

 

いやそれでも民主主義的な政治システムを実現するのが正義ではないか。「できるできないの問題ではない。すべきかどうかの問題だ」という主張もありえるだろう。

 

しかし、それこそその国に任せるべきではないだろうか。なぜ他の国がとやかくいうのだろう。その国自身の政治でその国の国民を幸福にできないならば、他国が支援して改革を迫って国民が幸せになれるようにするべきなのだろうか。

 

それにしたって参政権よりも生存権の方が優先されるべきではないだろうか。「民主主義でなきゃ援助もビジネスもしない」という話であれば、その条件を満たさない限り、貧しい人は貧しいままでもよいという話になってしまう。まずは経済の拡大による物質的な生活水準の向上を優先させてもいいのではないだろうか。現にアジアは開発独裁で経済先行型で驚異的な成長を遂げてきたのである。

 

欧米が民主主義的な政治体制を望むのにはわけがある。独裁者が国を治めていると、独裁者の一存で、法律も規制も変わるし、ヘタしたら外資企業の財産没収という自体が起きる可能性もある。しかし民主主義的な政治体制は権力が集中しないようにできているのが普通だから、自国企業のビジネスに不利になりそうなら、別の権力者と仲良くなってそいうった動きを阻止すればいい。だから、欧米は民主主義を広めたいのである。

 

そう考えるとむしろ中国のアプローチのほうが中立的であり、双方にメリットが有り、欧米のアプローチは欧米にはメリットはあるがアフリカの国にとってはメリットは少ない。