一鳴驚人日記

外資系企業でM&A関係の仕事をしている若僧のブログ。キャリアや時事ネタに関してその時々に感じたことを書いていきます。

法人税はそもそもどう払うべきなのか?

 

税金を最小化することは企業にとっては重要である。米国も日本も税率がおよそ40%弱あるので、会社が上げた利益の約4割は政府が持っていくのだ。

 

コーポレート・ファイナンスの観点から考えると、企業価値は企業がフリー・キャッシュ・フローを生み出す能力によって決まる。

 

フリー・キャッシュ・フロー=営業利益(1-税率)+減価償却費-設備投資-運転資本の増加分

 

であるが、

左辺を最大化することを考えた時、製造業などの重厚長大型産業だと資産が多いので減価償却や設備投資が問題になってくるが、IT企業は減価償却費も設備投資も小さいということであれば、税負担をできるだけ軽くすることが重要だ。

 

2010~2011年の過去3年間の過去実績で見るとアップルの減価償却費は売上の3%程度だ。同社の営業利益率はおよそ30%で、有利子負債はない。米国の税率は30%代後半なので、仮に税率を40%程度とした場合に法人税は売上の10~15%にのぼるのだ。(10Kより)

それを最小化することは企業にとっては当たり前に重要である。

 

税金を払わないことは企業が属する社会に対する義務を果たしていないのではないかという観点もあるが、実際には企業の収入が配当や自社株買いで株主還元されると、個人所得として課税されるので、税率の差はあれど、課税はタイミングの問題と言える。

 

ところで、アップルは世界中で製品を販売して利益を上げているが、米国企業であるから、米国にだけ税金を払えばよいのだろうか。それはやはり、そのような魅力的な製品を生み出す競争力をもった企業が生まれる国に対する当然の報酬なのだろうか。

 

それとも多国籍企業であれば、収益を上げている国に還元をすべきなのだろうか。

 

あるいは、法人税を出来るだけ低く設定し、企業の持ち主である株主に還元された利益を株主が属するコミュニティで税金を支払うべきなのだろうか(株主はコミュニティの一員であるので、コミュニティに税金を支払うことで自らもそのメリットを享受できるし、義務も果たすことになる)