一鳴驚人日記

外資系企業でM&A関係の仕事をしている若僧のブログ。キャリアや時事ネタに関してその時々に感じたことを書いていきます。

M&Aアドバイザリーとは

自己紹介をして「M&Aアドバイザリーの仕事をしています」というと、金融やコンサル関係以外の人はたいてい「きょとん」として、あまり良くわかっていないことが多いので、M&Aのアドバイザリーの仕事に関して説明して見ようと思う。

 

まず、M&Aとは「Marger & Acquisition」の略で、日本語に訳すと「合併及び買収」となる。要するに企業が、土地や工場を購入するように他の企業やその企業の一事業を購入したり(買収)、2つの企業がくっついて一つの会社になったり(合併)することだ。なお、買う企業があれば得る企業も当然あるわけで、従って事業の売却もM&Aに含まれる。また、合弁企業(Joint Venture=JV)の設立や出資もM&Aに含まれる。(さらに広い場合には自社株買いも含まれる)

 

ここでは他の企業を買収することを例にして、アドバイザーがどのようなことをするのかを説明していこう。

 

アドバイザーとしてよく登場するのは以下の人々

1. 財務アドバイザー (Financial Advisor=FA)

2. 法務アドバイザー (Legal Advisor)

3. 会計・税務アドバイザー

 

役回りは順番に

1. 企業の買収価格の分析や買収戦略の決定、各種調整・手配の実施

2. 買収形態(買収ストラクチャー)にたいする法務面からのアドバイスや契約関連の実務

3. 買収形態(買収ストラクチャー)にたいする会計・税務面からのアドバイスや非買収企業の資産・負債などの価値の査定

 

1は投資銀行、証券会社が担当することが多いが、メガバンク、M&Aブティック、コンサルタントが担当することもあり、会計系のファームが1と3を兼務している(部門はもちろん別)場合もある。

 

それに加えて、M&Aをする上でのリスクや、買い手企業の資金余力も考慮して

4. 経営コンサルタント

5. 人事コンサルタント

6. 環境コンサルタント

7. ITコンサルタント

など様々なコンサルを雇って、デュー・ディリジェンスを行い、必要があれば買収後の被買収企業と買収企業の統合(Post Marger Integration=PMI)のプランのデザインを手伝ってもらう。

 

M&Aのディールのプロセスに合わせて言うと

1. 買収対象の特定(事業面や大まかな価格面にもとづいて): FA

2. 買収対象の企業価値の算定(=バリュエーション、いくらで買うべきかを試算):FA

3. 買収企業への打診及びデュー・ディリジェンス(企業価値の検証):法務・会計・税務アドバイザーやその他諸々のコンサルタント

4. 値段及び条件面の交渉(買収価格や契約上の権利・義務に関して):FAと法務アドバイザー

5. 契約成立後(PMI):戦略コンサルや各種コンサル

 

もっと実務面で詳しく知りたい場合は以下の本をご参照

最新 M&A実務のすべて

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M&Aに関することが、全体の流れから、バリュエーション、ストラクチャーまでひと通り網羅されており、実務でも重宝する。

 

実務本は難しいし飽きるという場合は以下の2冊がおすすめ。ストーリー仕立てになっており、全体像をつかむにはよい。これからM&Aの世界に入りたいという学生や転職を考えている人は是非読んでみたらいい。後者はリーガルアドバイザー(弁護士)の観点からM&Aの流れを追っている。

企業買収

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M&Aドキュメント 事業売却

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