一鳴驚人日記

外資系企業でM&A関係の仕事をしている若僧のブログ。キャリアや時事ネタに関してその時々に感じたことを書いていきます。

Players in M&A Advisory Field

最近業界に関して調べて知人からもいろいろ話を聞いたので、自分の経験も合わせて備忘録としてまとめておく。

 

M&A アドバイザーの種類はおおまかに分けると以下のとおり。

1. 国内証券

2. 外資投資銀行

3. 監査系FAS(Financial Advisory Service)

4. M&Aブティック

5. M&Aコンサル

 

言及する内容は以下のポイント 

ディールの性質。案件規模、ディールフロー、内外比率

仕事の配分、ワーク・ライフ・バランス、求められる質

人の雰囲気、ビジネスとしての強み弱み

 

<国内証券>

ディールの規模は数千億円規模のものから数千万円規模のものまで扱う。ディールフローは圧倒的。最近はクロスボーダー案件にも起用されることも多いが、外資投資銀行との併用が多く、海外との部分は外資がやるという分担になることが多い。自分はM&Aディールでジョイントアドバイザーになった経験は無いが、株式や債券での資金調達だと国内証券が国内を、外資系金融機関がグローバルを担当するという住み分けをする。

 

仕事は非常に細分化されており、カバレッジM&Aのエクセキューションチームはわかれている。みずほなどはクロスボーダーなどのチームもわかれている。SMBC日興などの知り合いもドキュメンテーション(契約書の作成部隊)に配属された人がいて、ひたすらドキュメンテーションを極めていると話していた。その意味では、一人でディールのいろんな部分をこなす外資系バンカーに比べ、自分の専門というか強みがつくのかもしれない。

 

ワークライフバランスに関しては、契約によるようだ。呼び方は会社ごとに異なるが、実質外資系のような契約で残業代が一切払われないもののベースが高い契約と、ベースは低いが残業代がつく契約の社員がいるらしく、後者は残業代を稼ぐために深夜2時くらいまで働く人がいるとのこと。休日でも出勤しているチームはあるようだ。

 

国内証券などの先輩を見ているとウェットな感じの人が多く、外資系に比べて「クセのある」人が少ない印象。一方で優秀な人は外資に転職している人も多く、外資系のシニアレベルでは大和、野村出身という人も多い。

 

強みはなんといってもカバーの範囲の広さとコネクションの強さだろう。中にはクライアントが外資系からピッチでアイディアをもらって、それを長い関係を持つ日系証券などでやらせるというケースもある。また、銀行系の証券は銀行が非常に影響力を持つ企業のディールを取りやすい。

 

外資投資銀行

手数料の水準が低い案件は引き受けないので、およそ300億円規模以上の案件に関わっていくことが多い。少数精鋭で金額規模の大きい案件を狙うというビジネスモデルだが、金額規模の大きい案件の絶対数が少ないため、提案活動の比率が高くなる傾向にある。M&Aチームがあるファームは十分にディールの経験が積めるが、カバレッジでディールの経験を多く積むことは個人的に難しいと感じる。クロスボーダーディールは強みであるので当然そちらの比率が高くなる。というより、そちらのほうがクライアント企業が外資系を起用してくれる確率が高まるので、クロスボーダーディールを狙った提案を行なっていくことも多い。

 

仕事はスピード感とクオリティの両方が求められる。仕事がひっきりなしに降ってくるので、基本的に平日は深夜、休日も反日出勤することが多い。ただし、例外的に土日出勤が少ないチームも存在する。アナリストは基本的に自由な時間を確保することは難しいが、アソシエイトになるとある程度仕事の進め方を自己の裁量で決められるので、生活の質は改善されることになる。

 

上層部はよく言えば個性、悪く言えばクセのある人が多い。個人的には外資系がもてはやされるようになった2000年代以前から外資系にいる人はある意味変わった人が多いということもあるのかなと思っている。「We are 外資」と思っている人も多く、言い方がきつい人が多い。アソシエイトレベルになると優秀で話のわかる人が多い印象。個人的に仲が良い人はいるものの、部門全体、会社全体の行事といったものは少ないし、仕事以外の付き合いそれほどない。年齢層は若い。優秀な人は30後半からMD

をやっている。

 

強みはやはり優秀な人材とグローバル・ネットワークだろう。欧米にしっかりとした基盤を持っており、日常から連携をとっているところはより広範なネットワークをもつ監査系のファームよりもディール時においてスムーズなサービスを提供できる気がする。

 

 <FAS

 ディール規模は大きくて~300億円くらい。ブルーチップ(超優良企業)がクライアントになることもあるが、その場合でもディール自体は社運をかけたようなものではなく、一事業の強化などで、むしろ新興企業などがクライアントになることも多い。ディールフローはそれなりに多く、基本的にエクセキューション中心の業務になる。基本的にパートナーの個人的なネットワークから案件をひろってくることが多いが、徐々に投資銀行カバレッジ的な組織を構築する動きも見られる。

 

外資投資銀行に比べると給料の水準は下がるものの、終電帰宅休日全休なども期待できる。(ただし、チーム及び案件の状況次第)人は穏やかな人が多いが、近年の金融業界の不況をうけて、外資系バンカーも一部受け入れているため、徐々に肉食化している部分もある模様。

 

強みは会計・税務との連携プレーであり、フィーの安さ(強みとは言わないかもしれないが…)。会計事務所であるために投資銀行以上に世界各地に拠点を持っているが、協力関係がそれほど濃いかといわれるとそうでもない。弱みは非常に属人的なビジネスであり、ディールが取れるパートナーが何かしらの理由でやめてしまうとビジネスが減る可能性はある。また、ブランド力が弱く、外銀にディールを横取りされる時もある。

 

M&Aブティック>

基本的にビジネスモデルや報酬、人の雰囲気は外資投資銀行と同じ。一部では外資投資銀行以上にハードに働くことを求められたりする。上層部は外資系バンカーから移った人が多く、ディールがある程度取れるようだが、上層部との相性や上層部の人事により自分の評価やビジネス自体が左右されるというところがある意味リスクではある。

 

M&Aコンサルは知らないので割愛。