一鳴驚人日記

外資系企業でM&A関係の仕事をしている若僧のブログ。キャリアや時事ネタに関してその時々に感じたことを書いていきます。

「もうちょっと寝たい」も積もれば徹夜になる

最近日経で睡眠に関するテーマを科学解説する記事の連載がある。仕事柄睡眠のことに興味を持ちやすい自分は毎週楽しみにしている。


「8時間睡眠は十分か」「ぐっすり寝るコツは」など、古典的といえば古典的だが、「結局のところどうなんだっけ?」となりそうな内容について、科学的に説明がなされていて、なんでも仕組みを理解するのが一番納得する自分としては読み応えがあるのだが、今回は驚き半分、納得半分の非常に役立つ内容だった。



日本経済新聞 印刷画面


記事の中で私が特に注目したところは、

「少し寝足りない日々が1、2週間続いただけで徹夜以上のダメージが生じる」

というところである。

記事によれば、

「少し寝足りない」状態が認知機能に与える悪影響はさらに甚大である。6時間睡眠ですら10日を超えると徹夜明けと同じレベルにまで認知機能が低下する。これでは運転や危険作業に従事するのは非常に危うい。

4時間睡眠ともなると2週目には3晩連続の徹夜と同程度にまで低下する。

ということだが、これは私の経験と驚くほど一致している。


以前一時期、一ヶ月間ほぼ4時間睡眠(ただし土日は7時間程度睡眠をとった)で働いていたが、その時は本当に大変だった。朝が非常に辛い、日中油断すると夢の世界にいる、ともすれば投げやりになるなど、肉体的精神的につらかった面も当然あるが、私にとって一番つらかったのは、ミスが多発したことだった。


驚くほど物事を忘れる、取り違えるということが起こる。しかも、原因がよくわからない。日常生活でも起こり得ないようなミスを仕事で起こす。「あれ?さっき確認したはずなのに、、、」


M&Aやファイナンスでは、仕事上数字や手続きを多く扱い、ミスが億円単位の損失につながり、場合によっては案件が不成立になることもある。そのため、普段から些細なミスにもとても厳しい。そして自分もそのことをよくわかっているのに、些細なものとはいえミスがでるため、本当につらかった。いわば、自分の体が自分のものでないような感覚。


恒常的に4時間睡眠をしていなくとも、恒常的に6時間睡眠で生活しているバンカー(投資銀行部門で働く人は自分たちをこのように呼ぶ)やM&Aプロフェッショナルは多い。


朝9時に出社して夜1時に帰宅するとして、8時間は仕事以外の時間があるものの、実際には8時間全てを睡眠にあてることはなかなかない。通勤やふろなどを合わせるとどうしても1時間はとられる。そして、夜中までエクセルで財務モデルを作成していると、疲れていても脳がさえて眠れないことも多い。そして、肉体的な疲れとは別に精神的な疲れも当然存在するため、夜中にも関わらず、まんがや本が読みたくなったり、無為にネットサーフィンをしたりと、すぐに寝れない要因はたくさんあるのだ。


結果として、睡眠時間は5~6時間となることが多い。経験上これを下回ると、仕事のパフォーマンスに影響が出てくる。たとえてみると、ギアが一段階変わってしまう。しかし、これも記事によれば、一日徹夜している状態で仕事をしているに等しいということだ。つまり、まともな状態で仕事ができていたのは月曜日と火曜日くらいだったのだ。

まさに

睡眠不足が慢性化している人は眠気をうまく自覚できなくなることが知られている。たまに眠気が強くなるから自覚できるのであって、毎日眠気が強ければそのことに違和感を感じなくなるからだ。

ということだ。

仕事柄、プロジェクトの繁忙期にたっぷり睡眠をとる余裕はない(むしろそのような大事な時こそたくさん睡眠をとるべきなのだが)。しかし、パフォーマンスの維持のためにも、一番忙しいわけではない時は、敢えてしっかり睡眠をとっていくことにしよう。