一鳴驚人日記

外資系企業でM&A関係の仕事をしている若僧のブログ。キャリアや時事ネタに関してその時々に感じたことを書いていきます。

できませんが言えないとプロ失格だけど、できませんも言い方がある。〜仕事を断る方法〜

仕事をしていると「できません」と言いたくなる場面、言わざるを得ない場面がある。

4月に新人として入社したり、異動で部署が変わった人も多いだろう。新しい環境の中では、不慣れなことも多い一方で周りの期待に応えたり、気を使ったりして「できない」ということがためらわれる場面も多いだろう。

しかし、下記記事で指摘するように、無理に引き受けるのは誰にとってもメリットがない。では、どうしたらいいのだろうか。


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私が仕事をしているM&Aアドバイザリーの仕事では、特定のマネージャー(もしくはディレクター)がチームの責任者となり、その人が中核となって、ジュニアと呼ばれる、マネージャー未満のプロフェッショナルを何人か選んでチームを組んで案件を進めていくこと一般的だ。


そこそこ規模のある会社はジュニアのプール制を採用していることが多い。つまりジュニアを特定のカバレッジやプロダクトのグループに紐付かせることなく、部門或いは会社で共有し、案件ベースでチームを割り振る。


ブティックはもともとが10人前後なので、プールもヘッタクレもなく、同じチームで常時現在ある案件をこなすが、日系証券、投資銀行、会計系のファームなどは抱えるプロフェッショナルの数も多いので、仕事量のバランスを見て仕事の割り振りが行われるシステムを採用しているのだ。新規案件を獲得し、人員の割り振りが必要になった時、2件に関わっている人と1件の人がいれば通常後者に割り当てることになる。


しかしながら、ジュニアの数が数十人となると当然不均衡が発生する。マネージャーは、誰が忙しいかなどいちいち把握していない。使い慣れた人を使いたい。もちろん特定の人のスキル、経験、ノウハウなどが必要なことが背景にある場合も少なくない。


必然的に平均以上に仕事がこなせるジュニアは仕事を断る必要が出てくる。全ての業務を引き受けていたら、すぐにパンクしてしまうからだ。


記事でも指摘されている通り、できないのに引き受けてしまうのが一番良くない。新規に引き受けた案件を全く対応できないということだけであれば、まだ被害は小さい。多忙により、当人が体調でも崩そうものなら、その人がそれまでに担当していた他の複数の案件でも穴が出来てしまい、他の人が無理をして埋める必要が発生する。


かと言って、ただ「できません」と言ったのでは自分の評価が下がる可能性が高い。結局自分の評価は如何に多くの人と案件をうまくやったかにかかっている。もちろん、自分の能力を高くかってくれているから、そんなことでは評価に影響しない人もいるだろうが、基本的に忙しくない人はいないので、忙しい中でいかに仕事をこなしていくかということも見られるのである

ではどうすればいいのだろうか。

私の場合は、

  1. どんなことならできるのか、
  2. どのようなリソースが必要なのか


ということを伝えるようにしている。


ボールは相手に預け相手に判断させるのだ。


相手の依頼に否定で答えることは場合によってはかどがたつ。実質的否定の内容でも肯定形で伝えるのは重要だ。そして、「できない」というのはこちらの判断だが、「条件付きでできること」を伝えてそれが依頼主の要求や期待に満たず、結果として依頼されないのであれば、それはあくまで依頼主が自発的に依頼をやめたのであってこちらが依頼主の依頼を否定していない。


もちろん、それでも強引に自分の要求を突き付けてくるマネージャーもいるだろう。その場合は、最終手段として断るのである。自分一定の妥協をしても相手が少しも妥協しないのなら、まとまるはずがないし、どうせ引き受けてもうまくいかないのだから、何れにしても断るしかないのであると諦めもつく


特にチームに入って間もない時、自分の周囲からの評価が定まっていない時は「できない」と言ってしまうと仕事をもらえなくなってしまう可能性もあるが、状況を理解してもらい、現実的にできるか否かを判断してもらうようにすることでマネージャーの印象も随分違うはずだ。