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一鳴驚人日記

外資系企業でM&A関係の仕事をしている若僧のブログ。キャリアや時事ネタに関してその時々に感じたことを書いていきます。

【書評】帳簿の世界史

Book review

会計士、税理士、銀行員、証券会社、ファンドマネジャー、経理担当者、規制当局などなど、会計或いは帳簿に関する仕事する人は少なくない。そうした日々会計・簿記を使っている人もそうでない人も、会計や簿記がいつどのように発明され、受け継がれ、進化を遂げ、今日に至るのか、疑問に思ったことはあるだろうか。

歴史を紐解き、中世に生きた歴史上の人物の一生や国家の盛衰など様々なアングルを通してそうした疑問に答えてくれる一冊がこちらである。

帳簿の世界史

帳簿の世界史


世界史を習ったことがある人であれば必ず知っているような偉人、国家のストーリーを交えた語り口は、たとえ会計にあかるくない人にとっても歴史好きであれば楽しめるが、簿記や会計をよく知っている人であればなおさら興味深い一冊である。


しつこいくらいに複式簿記の重要性、有用性を説く本書は、一方でその有用性にも関わらず長い歴史の中で拒まれ、蔑まれ、闇に葬られて一向にビジネスに、経済にそして社会に浸透しなかった背景を様々なエピソードを交えて解き明かす。


数字という極めて冷徹で客観的な簿記と思われる作業が実は極めて感情的かつ主観的である信仰に深い関わりを持つことは、西欧で発明され、社会に根ざした多くのことがそうであることを踏まえても驚きに値する。


そして全てをつまびらかにすることができる一方で使い方によっては都合の悪いものを巧妙に隠すこともできる二面性は、言われてみれば当然のことではあるのだが、歴史上繰り返されて来た数々の偉人や国家存亡の物語とともに語られるとより一層重みが感じられる。


歴史上公正な会計が根付いた社会は隆盛し、そうした社会が衰退した背景には必ずや会計がないがしろにされた事実があった。


日本でもオリンパス東芝など、一流企業で不正会計事件があとをたたないが、そうした経験則を踏まえて、今後どのように企業、政府そして社会に会計を役立てていくのか、そして真に利益、経営や統治に必要な情報を必要な当事者に届けていくのか改めて考えさせられる一冊である。